『Thank You......』


役柄etc…登場人物は博くんと准くんの二人です。
     名前が思いつかなかったので本名でいかせて下さい(汗)
長野博…准一の勤務する会社の先輩。だけど後輩を可愛がっていて、准一を一番
    可愛がっている、後輩の一番の理解者。
岡田准一…つい最近、「凛果」(りか)という名前の彼女を病気で亡くしたばかり。
     博の後輩。理解者である先輩・博を一番頼りにしている。
凛果(りか)…准一の彼女だった。つい最近、病気でこの世を去る。
       (凛果は架空の人物です)

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Thank You......


准:…先生!!凛果は!凛果は…!?助かったんですか…!?
医:手を尽しましたが…。申し訳ありません。。凛果さんは…。。
准:…まさか…。。
医:…失礼します。

2年間付き合った彼女・凛果は今、病気に負けた…。
ショック過ぎて、涙も出てこない。現実を受け止められないのだ。
一緒にいた凛果のご両親は、泣き崩れている。俺は呆然と、医者が立ち去った方向を
ずっと見つめていた。

凛果には、1年前から病気の前兆はあったのだ。俺とのデート中でも、
具合の悪そうな素振りを見せていた。だけど、心配させまいと気丈に振舞っていた
凛果の性格と、気付いてあげられなかった鈍感な性格の俺、、今は、全て自分が
悪いのではないかと思ってしまう。俺が早く気付いてあげれば、彼女はこんな事に
ならなかったかもしれないのに…。

2日後。凛果の葬儀が行われた。だけど俺は、出席しなかった。
あまりにも辛すぎるから。。それに、現実を受け止めたくなかったから。。

凛果とは結婚の話まで出ていて、ご両親にも何度も挨拶に行った。
だけど、葬儀に出席しない俺を見て、凛果のご両親は、「薄情者!!」と
言って「こんな男に娘をやらないで良かった」とまで言われた。

今は何を言われてもいい。現実逃避している弱い男と言われてもいい。
だけど、凛果がいないことを受け止めることだけは、、絶対に嫌。


気持ちが落ち着かないまま、俺は会社に出社した。
いつもの元気がない俺を心配して、一番の理解者、長野先輩が声をかけてくれた。

博:准一!おはよう。どうした?元気ないな?
准:長野先輩。。おはようございます。
博:どうした?彼女と喧嘩でもしたか?

自分のディスクに向かおうとしていた足が止まった。

准:いえ、別に…。凛果とは、、いつも通り仲いいですよ。。

嘘をついた。一番の理解者にも嘘をついた。
だって、こう言う以外俺には何も出来ない。きっと、凛果はどこかで生きてる…!

博:凛果ちゃん大事にしてやれよ〜!お前にはもったいねぇよっ!
  あんな可愛い彼女なんてさぁ。。俺にも新しい出会いねぇかなぁ。。
  ねぇ准一、お前はさぁ、どうやって凛果ちゃん彼女にしたの?
  どっちが告ったの?俺にアドバイスしてよ♪
准:いい加減にして下さいよ!!

つい怒鳴り声をあげてしまった。もうそれ以上、凛果の話をして欲しくなかった。

准:…あっ、、ゴメンなさい。。あの、、仕事!仕事しましょう!長野先輩、
  10時から取引先のとこ、一緒に行くんでしたよね。今から行かないと
  間に合いませんよ。行きましょう!
博:どうしたんだよ…。やっぱり喧嘩でもしたのか??

急いでその辺にある書類を片付けようとしたら、ディスクの上のものまで
まとめて落としてしまった。時間がないのに、とイライラしながら
適当に集めて片付けようとしたら、、星型のキーホルダーが落ちていることに
気付いた。これは…。。

これは俺と凛果が付き合いだした頃、二人でお揃いのもの持とうと言って
一緒に買ったもの。。ふと裏を見ると、凛果と二人で写るプリクラと、
その下に、凛果が書いてくれた「Junichi」という俺の名前がある。

そういえば、、俺は凛果のキーホルダーに「Rika」って書いたなぁ。
凛果のキーホルダーは、、どこにいったんだろう…。


しばらく落ち着かない日々を過した日の夜、俺はとてつもなく深い眠りに
襲われた。明日は日曜で休みだから、遅くまで起きていようかと思っていたのに、
起きているのが辛いくらい眠くなった。仕方なく、俺はベッドに入った。


…俺は緑が生い茂っている公園のベンチに座っていた。何故かずっと座っている。
帰ろうという気が起きない。しばらくすると、向こうから白いワンピースを着た
長身の女性が歩いてきた。

准:凛果…?

向こうから歩いてくる女性は、俺の彼女の凛果だった。
凛果はもうこの世にいない、という感覚は全くない。今日は、このままデートに
出かけようかとも思っている程。

凛:准くん!ここにいたんだ。探したよ〜!やっぱり、ここが好きなんだね。准くんは。
准:えっ?あ、そっか。ここは、俺が凛果を呼び出してここで告ったんだよな。
凛:そう。すっごい嬉しかったよ。私もずーっと前から准くんのことが好きだったから。
准:俺も、一世一代の告白!って気分だったから、断られたらどうしようかと思った。
凛:一世一代なんて大袈裟だよ(笑)
准:そうだ!凛果!これからさぁ、デート行こうよ!凛果、クレープ大好きだったよね。
  友達が美味しい店あるよって紹介してくれたんだ。通しか知らないようなとこ
  なんだって。これからそこ行こう!ねっ!
凛:准くん…。

今まで笑顔で喋っていた凛果の顔が突然強張った。かと思ったら、
暗い顔になって突然泣き出した。

准:凛果…どうして泣くの??俺のこと、嫌いになった…?
凛:違う…。准くんのことは今でも大好き。大好きだから、、悲しいの…。
准:どういうこと…?
凛:もう私、、この世界の人間じゃないもん…。准くんのこと大好きなのに、、
  もう会えないよ。。
准:凛果……。
凛:准くん、、どうして、最後のお別れに来てくれなかったの…?
准:凛果、、もうこの世界の人間じゃないなんて、嘘でしょ?凛果はいつまでも
  俺の彼女でいてくれるよね??
凛:いい加減現実を受け止めてよ!!私だって、こんな最期を遂げたくなかった。。
  准くんにだけは一番理解して欲しい。。私がもう、この世にいないってことを…
  理解して貰った上で、、お別れの言葉、言って欲しい…。
准:凛果…。凛果…。上手い言葉、、見つからないけど…。ありがとうな。。
  凛果…。ありがとう。。
凛:准くん…。コレ、受け取って…。付き合い始めた頃に二人で買った星型キーホルダー。
  私が持っててもしょうがないよ。准くんに、持ってて欲しい。。

俺は少しずつ凛果に近づいて、震える手でキーホルダーを受け取った。
そして、ゆっくり顔を近づけ、凛果と、最後のキスをした。
唇が重なった瞬間、目の前が真っ白に光った――――………。


気が付くと俺は、自分の家のベッドの上にいた。汗をびっしょりかいている。
夢…?夢を見ていたのか…?何だかすごくリアルな夢で、天井を見つめたまま
呆然としている。

その内、手の平に何か違和感を覚えた。何か握っている。。
何かと思いながら見ると、なんとそこには…星型キーホルダーがあった。
まさかと思いながら裏返してみると…二人で写ったプリクラと、、
俺が書いた字で「Rika」と書かれている。。しかもその下には、
今まで書いていなかったはずの言葉が、凛果の字で書かれていた。
その言葉は…「Thank You」……。

やっと、凛果がいないことを現実として受け止められた。
その途端、目からとめどなく涙が溢れてきた。俺はキーホルダーを握りしめて、
声をあげて泣いた。大人になってからこんなに泣いたのは初めてだ。。

春の陽射しが暖かく窓に差し込む、3月のある朝のことだった……。


その日、気持ちが落ち着いてから、改めて挨拶をしようと思って、
凛果の墓参りに行った。墓の前に座り込み、時間を忘れて、ずっと手を合わせた。
合わせた手の間には、凛果が今まで持っていたキーホルダーを握りしめて…。
生前、伝えられなかったことを、「ゴメンね」という言葉と一緒に、全て伝えた。


それからは、今まで通り普通に過すことが出来た。特に落ち込むこともなく。

博:准一〜!この頃調子いいなぁ。何かあったの?凛果ちゃんとの結婚でも決まったか?
准:いえ…凛果は、、もういないんです。この世に…。
博:…はっ…?
准:数日前、、ずっと患ってた病気が元で、、亡くなったんですよ。
博:…嘘でしょ…?マジで…?
准:はい。でも、もう落ち込みながら生活するのやめました。

昨日の夜、見た不思議な夢のことを全て長野先輩に話した。

博:そっか…。お前の携帯に付いてる星型キーホルダー、2つに増えてると思ったら、
  凛果ちゃんのキーホルダーなんだな。。
准:そうです。お守りですよ。俺の。何事にも絶対負けない、大事なお守りです。
博:でも…良かったな!夢の中でも、しっかり凛果ちゃんに挨拶出来て…。
  きっとそれは、天国の凛果ちゃんに伝わってるよ。
准:そうですよね!凛果は、天使になって俺を守ってくれてますよ。きっと。。


凛果、、
本当に天使に
なっちゃったんだね。
だけどきっと、
俺のことを
見守っててくれてるよね。
凛果が生きてた頃に、
ちゃんと気持ち伝えられなくて、
ゴメンね。
今、しっかり言うよ。

凛果…
Thank You......


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